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漢方薬は体質と症状に合った処方を選択することが肝腎です | |||||||||||||||
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漢方相談 | |||||||||||||||
漢方薬を御希望いただく方の多くは難病、慢性疾患ですので直接御来店いただくのが望ましいことですが、ご相談問診表に御記入の上送信していただき、これを参考資料とさせていただき、直接お電話(無料0120-28-6168をご利用下さい)で病状等をお伝えいただければご最良の漢方薬の選択が出来ると考えております。 | |||||||||||||||
健康食品 | |||||||||||||||
古い時代、牛黄はどのように使われたのかということを古い書物に記載されている事実に基づいて説明させていただきます。 | |||||||||||||||
牛黄は『日本薬局方』にも収載されているとおり、牛の胆のう中に生じた結石、要するに胆石です。牛黄は約1~4センチメートルの不規則な球形または角(かど)のとれたサイコロのような形をした赤みがかった黄褐色の物質で、手にとってみると以外に軽く、割ってみると、木の年輪のような同心円状の層があります。口に含んでみると心地好い苦味と微かに甘みのあるものが良品とされています。『第十五改正日本薬局方解説書』によれば、その薬理作用として、血圧降下作用、解熱作用、低酸素性脳障害保護作用、鎮痛作用、鎮静作用、強心作用、利胆作用、鎮痙作用、抗炎症作用、抗血管内凝固作用などが挙げられており、適用としては、動悸による不安感の鎮静、暑気当たりに対する苦味清涼、のどの痛みの緩解に粉末にしたものを頓服する。また、主として配合剤の原料とするとの記載があります。そこで店頭の薬を見て見ますと、 | |||||||||||||||
牛黄(ゴオウ) | |||||||||||||||
神農本草経 |
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牛の胆石が人の病を治す物質として用いられ始めたのは、牛の家蓄化とならんで紀元前、数千年前に遡(さかのぼ)るのか、それとももう少し新しいものなのかは、牛黄が記録に登場するのが、紀元前の秦(しん)の時代から 2世紀の漢の時代にかけて成立したといわれている中国最古の薬物書である『神農本草経(しんのうほんぞうきょう)』であるため、ヒトがウシを飼いはじめてから数千年の歴史の中の一体どこなのかは、初めて牛を家畜化したといわれるメソポタミアなのか、その後のエジプトなのか、さらには牛を現在でも神聖動物と考えるインドなのか、ほとんど見当がつきませんが、ともあれ、とてつもなく長い歴史を秘めた薬であることは間違いありません。 このように長い間、人間とかかわりあってきたにもかかわらず、意外と近年の研究もあまり多くないのは、牛黄の希少性と、これに伴う価格の高さによるのでしょうか。牛黄をもった牛は千頭に一頭といわれ、最近では衛生環境の整備された牧場が多くなったため、更に胆石持ちの牛が少なくなり、市場での価格は中級品でさえ一グラム千数百円と、ほとんど金の価格に近づいています。こういった事情は昔も同じだったようで、中国明(みん)代の本草(ほんぞう)学者である李時珍(りじちん)の著した『本草綱目(ほんぞうこうもく)』にも「薬物として高価なることこれ以上のものはない」と記されているのも、現代のように大量に牛を屠殺することのなかった時代では、なおさら入手が困難だったことがうかがえます。 わが国における牛黄の歴史も古く、『続日本紀(しょくにほんぎ)』に文武(もんむ)天皇二年( 698年)正月、土佐(とさ)の国から、同年十一月、下総(しもうさ)の国から牛黄が献上されたとの記録があります。 また、『令義解(りょうぎげ)』には、牛黄の取扱いについての記載が見られます。『令義解』とは日本最古の法典である『律令(りつりょう)』の注釈書です。『律令』は大宝律令や養老律令等が知られていますが、大宝律令は全く散逸してしまったのに対し、養老律令の方は、大部分が、『律令』の公定注釈書である『令義解』などによって復元されています。 その『律令』の中に廐牧令(きゅうもくりょう)という、中央の廐舎と地方の牧場の運営、官馬牛の飼育などに関する諸規定を収めた法律がありますが、この中に―凡(およ)そ官の馬牛死なば、各(おのおの)皮、脳、角、胆を収(と)れ。若し牛黄得ば、別に進(たてまつ)れ―という件があり、この頃から牛黄は貴重なものと考えられていたようで、また、牛黄とは何かということの説明もないことから、7世紀頃には、すでに牛黄が牛の内臓中にあって薬用になるものだということが多くの人々に知られていたと考えられます。 牛黄の文献的研究は満州医科大学の杉本重利氏の詳しいものがありますが、これによると牛黄は奈良朝以前、すでに推古天皇のころには輸入されていたようで、それ以前には允恭(いんきょう)天皇の三年一月( 414年)に天皇の病気治療のため新羅(しらぎ)へ医者の派遣を求めていることから、当時の中国医学の中心であった『千金方(せんきんぽう)』などが朝鮮でも利用されていたと考えると、『千金方』には牛黄を使用した処方が多くあることから、さらに古くから、わが国に伝えられていたと考えるのが妥当だとの記載があります。 さてそれでは牛黄はどのような病気の治療に用いられてきたのでしょうか。牛黄の記録としては最も古い『神農本草経』には「驚癇寒熱(きょうかんかんねつ)、熱盛狂痙(ねっせいきょうけい)。邪(じゃ)を除(のぞ)き、鬼(き)を逐(お)ふ」と記されています。これは主として急に何物かに驚いて卒倒して、人事不省になってしまう者や、高熱が続き、痙攣(けいれん)を起こしたり、そのために精神に異常をきたしたりした者の治療に使用し、また、人に悪い影響をあたえる邪気をとり除き、死人のたたりの鬼気を逐い払う作用があるとしています。これは即ち邪や鬼といったもので現わされる病気を駆逐したり、病気にかからないようにするといったように治療のみならず予防医学的にも使われていたようです。中国の梁(りょう)( 5~6世紀)の時代の陶弘景(とうこけい)の著した『神農本草経集注(しんのうほんぞうきょうしっちゅう)』には漢の時代の『名医別録(めいいべつろく)』の引用として、「小児の百病、諸癇熱(かんねつ)で口の開かぬもの、大人の狂癲(きょうてん)を療ず。又、胎を堕す。久しく服すれば身を軽くし、天年を増し、人をして忘れざらしめる」と記しています。これは子供の病気ならどんなものでも、高熱を発して歯をくいしばって口を開かなくなってしまう者や、大人なら精神錯乱を治し、長期間にわたって服用すれば新陳代謝を盛んにし、寿命をのばし、物忘れしなくなるということでしょうか。ところでこの『名医別録』にも記載されていますが、牛黄の面白い作用に「人をして忘れざらしめる」というのがあります。 これは宋の時代( 10世紀)の大明が著した『日華子諸家本草(にっかししょかほんぞう)』という書物にも「健忘」としてあげられており、いわゆるボケの予防又は治療に用いられてきたと考えられます。現代の中国では、牛黄を芳香開竅薬(かいきょうやく)というカテゴリーに分類し、脳卒中や脳梗塞などの脳血管障害による意識障害に用いているところをみると、古い書物の臨床適応も十分納得がいきます。牛黄の薬理作用の一つに末梢の赤血球数を著しく増加させるといった報告がありますが、これなどもボケなどの脳血管障害には有効に働くものと考えられます。 |
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牛黄の薬効 | |||||||||||||||
かなりひどい熱を発するような場合に用いられたようです。これは、牛黄がひどい高熱だけにしか有効でないということではなく、牛黄の作用が確実であったため、重病のときの解熱にしか使われなかったということでしょう。なにせ昔から牛黄はとてつもなく貴重な生薬であったわけですから、ちょっとした発熱など |
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日本脳炎ウイルス | |||||||||||||||
には使われなかったと考えるのが妥当でしょう。薬理実験でも、アミノピリンのような解熱作用はありませんが、確実な解熱作用があります。それに、化学的な合成物質と違い、正常体温まで下げてしまうことはありません。また、近畿大学薬学部の久保道徳教授のように牛黄は単なる解熱薬ではなく、発汗解熱薬だと説明される先生もいます。久保先生は漢方生薬が免疫系を賦活することにより病気を治すことを様々な実験で証明されている方ですが、牛黄も血流を盛んにすることによって発汗を促し、病気の原因となっているウイルスなどの異物を体内から汗と共に排泄し、さらに免疫能を亢進することによって治癒をはやめると説明されています。さらに牛黄には直接ウイルスを不活性化してしまうという作用もあります。北京の中国友好病院の金恩源先生らは日本脳炎ウイルスを、兵庫県立東洋医学研究所の新井喜正先生らはチクングニアウイルスを使った実験でこれを証明しています。要するに牛黄は、発熱という生体にとっての重要な生理的防御反応を抑制することなく、解熱作用を現わすというすぐれた生薬であるといえます。単に熱を下げるだけの解熱剤ではないということです | |||||||||||||||
牛黄の強心作用は薬理実験などでは、それほど強いものではなく、牛黄の循環器に対する作用の中心は末梢血管の持続的拡張による降圧作用だとされています。従来は強心作用が中心に考えられていましたが、現在では、末梢血管の拡張と、抗アドレナリン作用がその本体であろうと考えられています。牛黄清心丸のような牛黄製剤の効能が高血圧の随伴症状の改善を謳っているのはまことに当を得たものであることがわかります。ただ、残念なことは、牛黄のこのような効能は、現代の臨床例が十分ではないという理由で、表示できないということです。牛黄を使用した製剤をもつメーカーは、牛黄の素晴らしさを一人でも多くの人々に知らせるためにも、新たな臨床例を積み重ね、伝承されてきた効能を証明してゆく責務があるとおもいます。 | |||||||||||||||
牛黄が『名医別録』に「小児百病…を療ず」と記載されているように、わが国では主に小児の特効薬として、救命丸、奇応丸、感応丸などに配合され、現在でも使われていますが、このような伝統薬は家族のありかたが従来とは変ってきたことに伴い、親から子へ、子から孫へとの伝承が途切れがちになることは否めません。 | ベゾアール (ミネソタ動物歴史博物館 |
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牛黄の素晴らしい効果を考えると残念なことといわざるを得ません。これらを裏付ける薬理作用は、カフェインやカンフルなどの興奮作用を抑制したり、ウレタンや溶性バルビタールの鎮静作用を増強することで証明されています。 | |||||||||||||||
牛黄の利胆作用は、多分これに含まれている胆汁酸によるわけですが、胆汁酸塩は脂肪の消化を促進するばかりでなく、腸壁を刺激して腸の蠕動を高め、緩下作用をあらわします。いろいろな有機物と結合して安定化するので解毒作用もありますし、中枢神経を抑制する作用もあります。また、細菌の抑制作用や、ロシアの学者の発表によれば喘息や蕁麻疹などの疾患にも大変良いという話もあります。ともあれ、牛黄の胆汁酸成分も牛黄の多様な効能の一部になっていると考えられます。 | |||||||||||||||
牛黄の解毒作用が、東洋では病気による、または病気のもととなる毒素を取除くという意味合いが強いのに反し、西洋では毒殺に対する解毒薬として珍重されていたふしがあります。牛黄のことを英語ではベゾアール(
bezoar
)といいます。語源はペルシャ語の「padzahr」で、「pad(反)」「zahr(毒)」すなわち解毒剤という意味です。 従来、牛黄に多く含まれるビリルビンなどの胆汁色素は、排泄されるべき老廃物にすぎないとされていましたが、最近の報告では過酸化脂質に対する最もすぐれた抗酸化剤であるα -トコフェロールより優れた抗酸化剤であることがわかってきました。すべての病気の原因、またはすべての病気に活性酸素などの過酸化ラジカルが関わっているのではないかと考えられる今日、牛黄の過酸化ラジカルに対するスカベンジャーとしての役割は注目に値するものではないでしょうか。 |
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さて、『本草綱目』のなかに次のような記載があります。それは、「凡そ牛にして黄あるものは身上に夜間光があり、……」というものですが、これは牛黄を持った、すなわち胆石を持った牛は、夜光るというものです。以前は荒唐無稽なこととして、無視されていた箇所と思われますが、最近の研究では、なんらかの疾患をもった生物は発光するということがわかってきました。牛黄を持った牛は、胆石症ですから、光るわけです。ただ、それは極微弱な発光ですから人の眼では確認できないとされています。しかしアフリカのある種族の視力は都会に住むヒトのそれをはるかに越えていることを考えると、今更ながら古人の観察眼の鋭さには驚きを禁じえません。 著しく進歩したと考えられている今日の科学も、案外原始的で、わからないことのほうが多いようです。牛黄という生薬、まだまだ研究することが沢山ありそうです。 |
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【引用文献】 杉本重利、日本薬物学雑誌18:46(1934年) 杉本重利、日本薬物学雑誌18:60(1934年) 日本公定書協会編、第十五改正日本薬局方解説書 (2006年) 広川書店 井上光貞・関晃・他校注、日本思想大系 3 (1981年)岩波書店 引用文献】 岩城利一郎、薬局 18 : 163 ( 1967 年) 金恩源ら、 Pharma Medica 4 :121(1986年) 新井喜正ら、和漢医薬学会誌 4 : 402(1987年) 長沢元夫、世界の生薬(4):1 (1977年) 久保道徳、協励 (10):10(1989年) 鈴木真海・木村康一、新註校訂国訳本草綱目 (1979年)㈱春陽堂書店 M.DeBakeyら、Surgery 4 :934(1938年) R.Stockerら、Science 235 :1043(1987年) |
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